フリーランスのふるさと納税を解説します
昨今、ふるさと納税は多くの方々が利用する素敵な制度として話題となっていますが、みなさんはこの制度を有効活用できていますでしょうか。魅力的な制度とは知っているが、実態やその仕組みがよくわからないという人も少なくないかもしれません。 例えば、フリーランスの方々がふるさと納税を利用するには、会社員の方々と比べて上限額等が少々変わるといった注意点もあります。 この記事では、ふるさと納税の概要ややり方についてお知らせいたします。
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい都市など、自分が好きな自治体に寄付ができる制度です。地域の産業に貢献できるだけでなく、地域の名産品や寄付した地域での宿泊券など、お礼の品をいただける仕組みとなっています。
寄付金のうち2000円を超える部分については、手続きをすることで所得税の還付や住民税の控除が受けられます。
したがって、実質2000円の個人負担で地域に貢献し、お礼の品を受け取ることができる魅力的な制度です。
ふるさと納税のやり方
さて、ふるさと納税の概要がわかったところで、そのやり方についてみていきましょう。
ふるさと納税を実施するには、大きく4つのステップに分けられます。
限度額をシミュレーションする
ふるさと納税による控除の限度額は、人によって様々です。この控除の限度額は、納税する人の所得や家族構成などによって決定します。所得や家族構成を考慮して、自己負担金が2000円におさまる上限金額をシミュレーションしてみてください。
シミュレーションをしないで、ふるさと納税を実施すると、損をしてしまうことがあるのでご注意ください。
納税先の自治体を選び寄付をする
貢献したい地域の自治体を決定します。出身地に限らず、全国の自治体から自由に選ぶことが可能です。自治体によってお礼の品や特典が様々なので、これらを通して興味を持った自治体に寄付する方も多いです。
各自治体では、寄付金の使い道も明らかにしていて、寄付を行う際に寄付金の使い道を指定できるのも魅力の一つです。
寄附金受領証明書を受け取る
自治体から、お礼の品とその証明として「寄付金受領証明書」が届きます。この寄付金受領証明書は、寄付金の領収書で、確定申告の際に必要です。なので、届いたら大切に保管しておきましょう。
また、お礼の品が届くタイミングは必ずしも証明書と同じタイミングではなく、自治体やお礼の品ごとで異なる場合があります。
確定申告書に記載をする
対象期間の全てのふるさと納税の内容を確定申告書に記載して、自治体から受け取った寄付金受領証明書とともに提出します。
フリーランスがふるさと納税をするメリット・デメリット
フリーランスがふるさと納税をすると、どのようなメリット・デメリットがあるのか気になるかと思いますので、まとめてみました。
フリーランスがふるさと納税をするメリット
フリーランスの方々がふるさと納税をするメリットは、「節税ができる」「負担が少ない」「返礼品をお得に受け取れる」の三点です。
節税ができる
まず、こちらはフリーランスに限ったことではありませんが、節税ができます。ふるさと納税をした金額のうち、2000円を超えた部分は所得税の還付と住民税の控除に適用されます。所得控除が増えれば、その分課税対象額が減るので、所得税・住民税が減り、結果的に節税となります。
控除額が増えるという観点だけで見ると、確かにその現象自体は節税ですが、結局、納税額から2000円を引いた額は、前払いで違う自治体に寄付金として収めているので、明確に節税とは言い難いとも言われています。
しかし例えば、フリーランスの方が必要備品を購入する行為は節税として扱われます。それは、必要備品の購入費を経費として扱うことで所得が減り、ただ所得から必要備品を購入するよりも結果的に金銭的に得をしているためです。
今回のふるさと納税による節税も文脈としてはこれと同じで、素敵な返礼品を税金の控除ありで受け取れるということで、結果的に得している点から節税ができると言われています。
確定申告を元々しているので負担が少ない
基本的にフリーランス以外の方々は確定申告をしたことがないので、確定申告をしようとすると、やり方を調べたり、実際に実施したりする時間は手間でしかありません。しかし、フリーランスの方々は、元々確定申告をしているので、少し作業が増えたところで負担はかなり少なくて済みます。
返礼品をお得に受け取ることができる
やはり、一番のメリットはこの返礼品をお得に受け取れるということではないでしょうか。ふるさと納税は、実質2000円で返礼品を受け取れる仕組みと紹介しましたが、2000円では手に入らないような返礼品が多くあります。
自治体によっては、その土地の名産品や地元でなければ手に入らないようなレアアイテムを受け取ることができます。
フリーランスがふるさと納税をするデメリット
一方で、フリーランスの方々がふるさと納税をするデメリットは、「ワンストップ特例制度は利用できない」「控除上限の算出が難しい」の二点です。
ワンストップ特例制度は利用できない
ワンストップ特例制度とは、申請条件を満たしていれば、確定申告なしで税額控除が受けられる制度です。
この制度の申請条件には、元々確定申告をする必要のない給与所得者等であることという条件があり、これは、フリーランスの方々には該当しません。
この制度は、確定申告をしない会社員の方々のための制度であり、実質フリーランスの方々の確定申告による負担は、ふるさと納税の有無ではほとんど変わりません。したがって、この制度を使えないということはそれほどデメリットではないかもしれません。
控除上限額の算出が難しい
控除上限額の算出は、所得と家族構成から算出することができますが、計算方法はやや難関です。また、上記の二つからある程度の目安を出すことはできますが、実際の数字を明確に出すのは実はもう少し複雑な計算が必要です。
後述しますが、他の制度で控除を適用している場合、それらを厳密に考慮しようとするとかなりめんどくさい計算になります。
自分で計算するのは大変なので、簡単なモデル例を参考にしてみたり、シミュレーションにて計算してみることをおすすめします。
フリーランスのふるさと納税計算方法
ふるさと納税の控除上限額は、医療費控除や住宅ローン控除など、その他の税金控除を受けていない給与所得者を想定した場合、
(個人住民税所得割額×20%)÷{100%-住民税の税率-(所得税率×復興税率)}で求めることができます。
ただ、この計算は個人で実施するにはやや大変です。
目安額を知りたい場合
フリーランスがふるさと納税をするデメリットとして、控除上限額の算出が難しいことをあげましたが、インターネット上には、目安額を簡単に計算できるシミュレーションできるサイトもあります。
例えば、以下の「ふるさと本舗」というサイトでは、個人事業主版のふるさと納税の目安額を計算できるシミュレーションがあるのでおすすめです。
詳細額を知りたい場合
上記の紹介したサイトにて、目安額についてはシミュレーションにて算出できますが、実際の額については、さらなる条件と複雑な計算が必要になります。厳密な金額が知りたい人は、税理士や国税局に相談してみるのが確実でしょう。
フリーランスがふるさと納税をする際の注意ポイント
フリーランスの方々には、iDeCoや小規模企業共済に加入している方々も多いのではないでしょうか。これらの制度は、小規模企業共済等掛金控除の対象となる制度で、つまり、所得控除が増えるため節税にも使える制度です。
iDeCoや小規模企業共済の利用で小規模企業共済等掛金控除を適用した場合、総所得金額(課税総所得+所得控除)のうち所得控除が増えて、所得税・住民税を算出するための課税総所得が下がります。
ここで、ふるさと納税は、総所得金額を元に控除額の上限が決められている制度なので、iDeCoで控除額が増えている分、ふるさと納税の控除額の上限は下がります。
したがって、iDeCoや小規模企業共済を利用している場合は上限額が下がることに注意が必要です。
まとめ
ふるさと納税は、実質2000円で地域に貢献し、お礼の品を受け取ることができる魅力的な制度です。2000円を超えて寄付した分に関しては、所得税の還付や住民税の控除が受けられるため、実質2000円で返礼品を受け取り、地域貢献をすることができます。
ふるさと納税は、上限金額の算出、納税先の自治体の決定、寄付金受領証明書の受け取り、確定申告に記載するという流れで実施できます。
確定申告の際に寄付金受領証明書が必要になるので、大切に保管しておきましょう。
フリーランスがふるさと納税をするメリットは、「節税ができる」「負担が少ない」「返礼品をお得に受け取れる」の三点です。
一方で、デメリットとしては、「ワンストップ特例制度は利用できない」「控除上限の算出が難しい」の二点が挙げられます。
デメリットにあるように、控除上限の算出は個人でやると非常に大変なので、シミュレーションサイトを使って目安額を算出するか、税理士や国税局に相談して正確な金額を算出することをおすすめします。
また、iDeCoや小規模企業共済のような小規模企業共済等掛金控除の対象となる制度を利用している場合は、上限額が下がることに注意が必要です。
この記事を通して、ふるさと納税の概要ややり方、注意点について分かっていただけたかと思います。
この魅力的な制度を、ぜひ自分に合う形で有効に活用してみてください。